歯周病とは
歯周病とは、歯の表面に付着したプラーク(細菌の塊)が歯と歯肉の隙間から侵入し、歯肉の炎症(腫れや出血)、歯石や歯周ポケットの形成、根っこの表面の汚れを引き起こす病気です。進行して歯を支えている骨(歯槽骨)まで炎症が広がると、骨が溶けてしまい歯を支えることができなくなり、最終的には歯が抜けてしまう恐ろしい病気です。
程度の違いがあっても、35歳以上の方の80%以上がこの歯周病にかかっており、また最近では糖尿病や高血圧同様生活習慣病に位置づけられています。つまり、不規則な生活、ストレス、糖尿病、喫煙等により、歯周病がより悪化することがわかってきています。またほかの生活習慣病同様、初期のうちには全く自覚症状がなく進行し、症状が現れたころにはかなりひどい状態になっていることがあります。
歯周病の進行状態
歯肉はひきしまったピンク色で歯槽骨は上までしっかり存在する。
炎症は歯肉に限局している。
歯肉が赤く腫れて、歯石も付着し、歯槽骨も少し溶け始めます。
歯槽骨がさらに溶けて、歯肉の色も赤紫色に腫れています。歯肉より血や膿も出てきます。歯も動いてきます。
膿がいつも出るようになり、歯槽骨はさらに溶ける為、歯を支えることができなくなり、歯のぐらつきもかなり大きくなります。硬い物などは、痛くて噛めません。
歯肉の状態
健康な歯肉の状態
54歳の正常な歯肉の方。歯周病は年齢とともに発症しやすい病気ですが、手入れ次第で、健康な状態を維持することができます。
中~重度の歯周炎の状態
歯肉が赤紫に腫れて、膿も出ています。歯肉が腫れているためズキズキ痛みもあり、痛くて物が食べれません。また歯ブラシも痛くてできません。治療後11年の状態
治療後11年の状態です。歯肉は引き締まり、ピンク色の状態です。定期的に来院されているため、再発は起こっていません。
治療費 | 約10,000円(保険治療適応) |
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施術の副作用(リスク) | 歯、歯槽骨、歯茎の状態によって治療方法や治療の難易度が変わるため、全ての方に同じ結果が出るものではありません。 糖尿病、喫煙等のリスク因子により、結果は変化します。 |
歯周治療の方法
歯肉炎、初期の歯周炎の状態では、正しい歯ブラシを行い、歯石や歯ぐきの汚れを取ることにより治すことができます。
中等度、重度の歯周炎の場合上記の治療に加えて、なくなってしまった骨を再生させる治療(エムドゲイン、GTR法等)や、外科的に歯の周囲をおそうじする方法が必要になってきます。
このような処置を行うことにより、抜かなければいけないような歯も保存することができます。
当院では、上記の再生療法や歯周外科を行い、保存が難しい歯の治療も行っております。ただ同じ処置をしても、少しでも進行していないうちに行ったほうが良い結果がえられます。
症状が出てからでは、かなり進行してしまっている場合もあります。
また、歯周病治療の基礎になるものは、患者様が行う、毎日の歯ブラシです。
当院では、治療の合間にスタッフが歯ブラシをさせていただきます。
そして、汚れが取れた状態の歯の"つるっ"とした感覚を実際に体験し、ご自分でなされている歯ブラシとの違いを実感して頂きます。「磨いている」と「磨けている」は違います。
歯周組織再生治療
中等度、重度の歯周炎の場合なくなってしまった骨を再生させる治療方法には、エムドゲイン、GTR法、自家骨移植等があります。通常再生療法は、術後若干腫れますが、痛みはほとんどありません。 当院ではそれぞれの症例に応じて術式を選択し、治療を行います。
① エムドゲイン(カタログより引用)
エムドゲインゲルは、スウェーデンで開発された歯周組織再生誘導材料です。 主成分(エナメルマトリックスデリバティブ)は、子供の頃、歯が生えてくる時に重要な働きをするたんぱく質の一種で、現在の科学水準に基づく高い安全性確保の下、幼若豚の歯胚から抽出精製したものです。
手術の手順(図①~⑥)
①歯周ポケットの測定
②歯肉の切開
③歯肉の剥離
④歯根表面の清掃
⑤エムドゲインの塗布
⑥縫合
初診時
赤線の部分で、骨の吸収像が確認できます
14年後
エムドゲインによる再生療法で、 骨の位置が黄色線の高い状態で維持できています。
治療費 | 120,000円 |
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施術の副作用(リスク) | 歯、歯槽骨、歯茎の状態によって治療方法や治療の難易度が変わるため、全ての方に同じ結果が出るものではありません。 糖尿病、喫煙等のリスク因子により、結果は変化します。 また、外科処置を行なった場合、術後の腫れや内出血、咬合痛等が起こる場合があります。 |
② GTR法
GTR法説明図(カタログより引用)
歯槽膿漏で破壊された歯の支持組織は、その原因を除去すれば再生しようとします。 しかし通常は、必要な支持組織よりも先に歯ぐきが入り込んでいくため、支持組織が再生する場所がなくなってしまいます。 GTR法とは歯の根の部分を掃除した後に、特殊なテフロン膜を置いて外から不要な組織が侵入しないように防御し、必要な支持組織が再生できるための場所を提供する手術方法です。
初診時
赤線の部分で、骨の吸収像が確認できます
18年後
GTRによる再生療法で、骨の位置が黄色線の高い状態で維持できています。
再生療法を行ったことで、両隣の歯も削ることなく18年間全く変化なく機能できています。
もしも、再生療法を行なわなかったら、この18年間の間に矢印の歯は、抜歯になり、両隣の歯はブリッジの支えとして削られ、そして神経をとり、どんどん抜歯の方向に近づきます。
適切な治療を適切な時期に行うことで、一生自分の歯で噛むことが可能になります。
治療費 | 120,000円 |
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施術の副作用(リスク) | 歯、歯槽骨、歯茎の状態によって治療方法や治療の難易度が変わるため、全ての方に同じ結果が出るものではありません。 糖尿病、喫煙等のリスク因子により、結果は変化します。 また、外科処置を行なった場合、術後の腫れや内出血、咬合痛等が起こる場合があります。 |
③ 自家骨移植
余分にある骨をヤスリのようなもので削り取り、それを骨のない部分に移植します。
詳しくは、治療例をご覧下さい。
初診時
赤線の部分で、骨の吸収像が確認できます
26年後
自家骨による再生療法で、骨の位置が黄色線の高い状態で維持できています。
治療費 | 80,000円 |
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施術の副作用(リスク) | 歯、歯槽骨、歯茎の状態によって治療方法や治療の難易度が変わるため、全ての方に同じ結果が出るものではありません。 糖尿病、喫煙等のリスク因子により、結果は変化します。 また、外科処置を行なった場合、術後の腫れや内出血、咬合痛等が起こる場合があります。 |